孫子曰く、「城を攻めるは下策」

  アメリカのトランプ大統領が、軍事費を6兆円増やして力による平和を目指すと言うが、それで平和になるとの発想に違和感がある。
 今のアメリカの苦境は、2001年の9.11事件を受け、アフガン、イラクの戦争に走ってしまったところから来ている。翌日9.12にホワイトハウスにいたG氏に、「アフガニスタンと戦ってソ連は崩壊した。アメリカは用心すべきだ。ソ連の二の舞でアメリカ経済が弱ってしまわないことを祈る」と言ったが、結局アメリカはビンラデインに引き込まれるようにアフガン戦争に突入、その後イラクにも手を出してしまい、その後のアメリカの国力低下の直接の原因になってしまった。その後、アメリカの自動車産業は壊滅状態になり、フォード、クライスラー、GMが全部倒れてしまった。しかしこれは、航空機や艦船の数が不足していたからではなく、戦争に対する考え方そのものが間違っていたことによるものだと私は思っている。
 また、トランプ大統領は核戦力を増強するとか、START交渉から引くとか言うが、それでアメリカの安全が確保されると思うのは、間違っている。
 6兆円をひねり出すために、国務省の外交関連予算、援助関連予算を削るとの発想は、いかにも軍人が多数を占めるトランプ政権らしい発想かもしれないが、孫子曰く、城を攻めるのは下策である、との考え方からすると、危うさを感じる。